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【レビュー】PCもスマホもゲームもスマートスピーカーも! 自宅のネット機器すべてをまとめて守る「SECURIE」

2020.4.16

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インターネットの普及により、家庭内で使う機器もインターネットにつながるものが増えている。パソコンやスマートフォンはもちろん、ゲーム機もインターネットに接続する機能を標準で搭載。最近では声で家電を操作できる「スマートスピーカー」や、Wi-Fiでコントロールできる照明、テレビ、エアコンなど、インターネット接続を前提とした「IoT」機器も普及が進んでいる。

インターネットに接続する機器が増えることは生活が便利になる一方で、セキュリティ面では危険も増すことになる。世界につながることができるインターネットは、逆に世界中から自宅につながることもできるため、悪意を持った第三者に自宅を狙われる可能性もあるからだ。

パソコンの世界では、こうした悪意あるソフトをいち早く検知するアンチウイルスソフト、第三者からの不正アクセスを防ぐファイアウォールという仕組みが確立されている。また、スマートフォンの普及に伴い、スマートフォン向けのセキュリティソフトもセキュリティベンダー各社から販売されている。

しかし、業務用パソコンであればともかく、自宅のパソコンや家族のスマートフォンすべてにインストールするのは費用もかかる。また、IoT機器はこうしたセキュリティソフトという仕組みが現状のところ用意されていない。

情報通信研究機構(NICT)の調査によれば、日本へのサイバー攻撃は1日数億回を超えており、その半数以上はパソコンやスマートフォンではないIoT機器だという。Webカメラが乗っ取られて自宅をのぞき見られた、自宅や企業のルーターにサイバー攻撃を受けたといった被害のニュースを見たことがある人もいると思うが、こうしたIoT機器はセキュリティ対策ソフトがないために悪意ある第三者のハッキング対象となっているのだ。

宅内のネット機器すべてをまとめてセキュリティ対策できる「SECURIE」

宅内にあるパソコンやスマートフォンだけでなくIoT機器のセキュリティも守りたい。そしてできることならトータルのコストも抑えたい。そんな要望に応えるのが、ソフトバンクグループでセキュリティ事業を中心にするBBSSが提供するIoTセキュリティサービス「SECURIE」だ。

この製品のポイントは、セキュリティソフトでの対策に加えてハードの面からもセキュリティ対策を行うこと。「Bitdefender BOX」という専用ルーターを導入し、自宅からのインターネット接続はすべてこのルーターを経由することで、自宅内のありとあらゆるインターネット接続機器を保護できる、という仕組みになっている。

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Bitdefender BOX

Bitdefender BOXは、IEEE 802.11a/b/g/n/acに準拠した無線LAN通信機能を搭載しており、通信速度は理論値で最大1300Mbpsと、家庭で使う無線LANルーターとしては十分なスペック。また、NTT東西の「ひかり電話」などは専用のルーターが必須だが、Bitdefender BOXではNTTなどプロバイダーとのルーターと併存するための設定も用意されている

ソフトの面でも、Windows/Mac/iOS/Androidに対応したセキュリティソフトを台数無制限でインストール可能。外出中などBitdefender BOXとは異なるネットワークを利用する場合のセキュリティも担保できる。

料金は1年版が27,000円(税別)で、次年度以降は9,800円。金額だけ見ると高く思うかもしれないが、この料金にはBitdefender BOX本体を含んでいること、セキュリティソフトのインストール数が無制限であることを考えるとトータルのコストパフォーマンスは高い。また、初期費用を抑えたいユーザー向けに、月額1,380円(税別)で利用できるプランも提供されている。(サービスラインナップ:https://securie.jp/buy/

設定はスマートフォンから。ガイドに従って操作するだけの簡単設定

初期設定は、BBSSのWebサイトでユーザー登録を行った後で管理用アプリ「Bitdefender Central」をスマートフォンにインストール。画面の指示に従ってBitdefender BOXの設定を進めていく。

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Webサイトでユーザー登録


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アプリにログイン


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「Bitdefender BOXのセットアップ」を選択


Bitdefender BOXの設定はとてもシンプルで、本体の電源をオンにしてからBitdefender BOXのWi-Fiネットワークにアクセスし、自宅のインターネット環境にBitdefender BOXを接続するだけ。その後自宅で導入済みのルーターに応じて設定を進めていく。

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Bitdefender BOXの電源をオン


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Bitdefender BOXのWi-Fiネットワークにアプリから接続


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Bitdefender BOX背面のWi-Fi情報を入力


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Bitdefender BOXをルーターに接続


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Wi-Fiのパスワードを設定


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設定完了


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導入済みのルーターがある場合はWi-Fiをオフにする


本体設定は大きく分けて、NTTやKDDI、ソフトバンクなどのプロバイダーから提供されたルーターを利用する場合、バッファローやNECなど市販のルーターを利用する場合、これらルーターがなく新規でルーターを導入する場合、の3通り。いずれの設定もアプリで構成に応じてガイドが表示されるほか、Webサイトにも設定方法がまとめられている

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既存ルーターとの併存方法はWebサイトで細かく説明がある

我が家はすでにNTT東日本のフレッツ光を導入しているため、NTTのルーターの下にBitdefender BOXを接続する形で構成してみた。

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自宅へ実際に設置

面白いのがWi-Fi設定のコピー機能で、導入済みルーターの配下にBitdefender BOXを設置する場合、ルーターのWi-Fi設定をそのまま引き継ぐことができる。同じWi-Fiが存在してしまうことになるので元のルーターはWi-Fi設定をオフにする手間はあるものの、同じネットワークをそのまま手軽に引き継げるのは手軽でありがたい。

なお、Bitdefender BOXの有線LANポートは1ポートしかないため、有線LANで複数の機器を接続することはできない。パソコンやゲーム機など有線LANで接続している機器が複数ある場合は、別途スイッチングハブの導入が必要だ。

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背面のLANポートは1ポートのみ


Bitdefender BOXの設定が終わったら、スマートフォンやパソコン用のセキュリティソフトをインストール。前述の通りインストール台数は無制限なので、家族の端末も含めてインストールしておこう。

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スマートフォン用のセキュリティソフト「Bitdefender Mobile Security & Antivirus」

自宅のネット機器を自動で検出して脆弱性をチェック

Bitdefender BOXの初期設定が完了してしばらく待つと、家中のネットワーク機器が次々に検出され、スマートフォンに通知が来る。我が家はパソコンやスマートフォンはもちろんのこと、ゲーム機やスマートスピーカーも多数導入しているため、導入直後はスマートフォンの通知がすごい勢いで鳴り響くことになった。

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自宅のネットワーク機器をスキャン


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宅内の機器を自動で検出して通知


パソコンやスマートフォンなど端末に名前がつけられているものは名称を自動的に検出。また、機器名が特定できない場合も詳細からメーカー名やIPアドレスなどで特定し、名前を変更することが可能だ。

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PCに名前を設定している場合はその名前で検出


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Nintendo Switchは「Nintendo Console」として検出


検出された機器はセキュリティ的な問題があるかどうかをBitdefender BOXが判定。筆者宅では幸いにして脆弱性が検出される機器は1台も発見されなかった。脆弱性は目に見えるものではないため確認が難しいが、Bitdefender BOXを導入するだけで宅内の機器すべてをチェックできるというのは心強い。

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自宅のネットワーク機器は脆弱性が検出されずほっと一息


また、脆弱性の検出だけでなく、悪質なWebサイトにアクセスした場合もBitdefender BOXが検知してブロックしてくれる。導入から2週間ほど試してみたが、普通にWebサイトを閲覧しているつもりが、いつのまにか悪意のあるURLがいくつかブロックされていた。アクセスした記憶のないURLだったため、本人の知らないところでアクセスしていたのを防いでくれたようだ。

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悪意のあるURLへのアクセスをブロック


スマートフォンの利用時間や利用アプリの監視、Webフィルタリングを利用できるペアレンタルコントロール機能も搭載。ユーザーごとにデバイスを紐付ける仕組みのため、機器ごとではなくユーザー、つまり子供や家族1人1人に対してコントロールできるのが特徴だ。

自宅内のネットワークに接続した状態なら、対象のスマートフォンにアプリをインストールすることなくコントロールできるほか、専用アプリをインストールすればスマートフォンの利用時間やアプリの使用状況、外出している子供の居場所も確認することが可能だ。

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充実のペアレンタルコントロール


シンプルながら家庭内の機器をすべて守れる強力なセキュリティが魅力



目に見えるものではないためなかなかその利便性を感じられないが、何かあってからでは遅いのがセキュリティ対策というもの。パソコンやスマートフォンのように対策機能があるものはいいが、対策が用意されておらず狙われやすいIoT機器も含めて家庭内をトータルで保護できるというのはシンプルながらも強力だ。費用も月額プランであれば1,000円程度で済むためそこまでコストもかからない。

初期設定もイラストを多用して細かく説明されているため、ネットワークの知識がない人でも使いやすい。ルーターとしての性能も十分で、ルーターを入れ替えて2週間ほどそのまま使っているが支障は全くといっていいほどない。

今回はBitdefender BOXの導入から基本的な機能を説明したが、Bitdefender BOXにはセキュリティを高めるためのさまざまな機能やサービスが用意されている。次回以降はこうした便利な機能、ルーターとしての性能などを紹介したい。


執筆者

甲斐 祐樹
Webニュース記者からマーケティング会社、ハードウェアスタートアップを経て、現在はフリーランスとして活動中。個人ブログは「カイ士伝